「病院の面接と同じ対策で大丈夫?」
訪問看護への転職を考える際、
多くの看護師さんが直面する最初の壁が面接の質の違いです。
在宅医療の現場では、
スキル以上に「判断力」や「マナー」、
そして「患者様と一対一で向き合う姿勢」が厳しくチェックされます。
病院での面接と同じ感覚で臨むと、
思わぬところで評価を下げてしまうことも少なくありません。
この記事では、訪問看護の面接官が必ずチェックする
「5つの評価軸」をベースに、
頻出の質問30選と、内定を勝ち取るための
具体的な回答例文を徹底解説します。
この記事を読み終えるころには、
面接官が「ぜひ、うちのステーションに来てほしい!」と感じる、
あなただけの合格回答が完成しているはずです。
面接官がチェックする「訪問看護師の適性」5つの評価軸
訪問看護の面接官が最も知りたいのは、
「現場で一人になったとき、責任を持って任せられる人かどうか」という点です。
病院とは異なる環境で働くための適性を、
面接官は主に以下の5つの軸で見極めています。
1. 安全管理への意識(リスクマネジメント)
病院のように設備が整っていないご自宅という環境では、
予測不可能な事態が起こります。
「常に最悪の事態を想定し、
安全を最優先した行動がとれるか」が問われます。
面接でのポイント:
過去のヒヤリハット経験や、
安全のために徹底している習慣を伝えると効果的です。
2. 的確なアセスメントと判断力
医師や先輩がすぐ隣にいない場面でも、
利用者さんの急変時に一人で状況を判断しなければなりません。
自分の知識の限界を知りつつ、
適切なタイミングで報告・連絡・相談(ホウレンソウ)が
できる思考プロセスが見られています。
面接でのポイント:
「一人で抱え込まず、根拠を持って周囲に頼る判断ができる」
姿勢を強調しましょう。
3. 多職種との円滑な連携力
訪問看護は、ケアマネジャーや医師、
リハビリ職など、多くの職種とのチームプレーです。
それぞれの専門性を尊重し、
利用者さんの情報を過不足なく共有できる
コミュニケーション能力が欠かせません。
面接でのポイント:
病院時代、他部署や他職種とどのように協力して
患者さんを支えたかのエピソードが武器になります。
4. 在宅療養を支える「生活の質(QOL)」への視点
病院の看護が「疾患を治す」ことに主眼を置くのに対し、
訪問看護は「その人らしい生活を支える」ことが使命です。
過剰な介助ではなく、
利用者さんの残存能力を活かした
自立支援の視点を持っているかが評価されます。
面接でのポイント:
「治療」だけでなく「暮らし」を支えたいという
価値観の変化を言葉にしましょう。
5. 信頼を得るための人柄と誠実さ
利用者さんのプライベートな
空間(自宅)に踏み込む仕事だからこそ、
礼儀正しさや誠実さが何よりも重視されます。
ご家族を含めた良好な関係を築ける
「安心感」があるか、チームの一員として
信頼できるかという人間性が見られています。
面接でのポイント:
言葉遣いや表情、相手の話を聴く姿勢など、
面接中の振る舞いすべてが評価対象です
面接の合否を分ける!「絶対に外せない」2つの事前準備
面接で緊張せずに自分を出し切るためには、
根拠のある自信が必要です。
その自信を支えるのが、以下の2つの徹底した準備です。
1. 事業所リサーチ:相手を知り「ミスマッチ」を防ぐ
「どこでもいいから訪問看護をやりたい」という態度は、
面接官にすぐに見抜かれます。
志望するステーションの特性を深く理解することで、
志望動機の説得力は劇的に高まります。
・専門分野と利用者層の把握: 小児、精神科、終末期(ターミナル)など、その事業所が何に力を入れているかを確認しましょう。「自分のやりたい看護」と「事業所の方向性」が一致していることを伝えるのが内定への近道です。
・働き方のリアルを確認: 1日の平均訪問件数やオンコール当番の頻度、緊急時のバックアップ体制などを調べます。これらは入職後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐために不可欠な情報です。
・教育・サポート体制: 特に訪問看護未経験の場合、同行訪問の期間や、独り立ちまでのサポートの流れをチェックしておきましょう。
2. 経験の棚卸し:面接官の心に刺さる「エピソード化」
これまでの経歴をただ並べるだけでは、あなたの魅力は伝わりません。
重要なのは、「過去の経験から何を学び、訪問看護にどう活かせるか」
を具体的に語ることです。
そのために有効なのが、論理的にエピソードを伝える
「STAR法」というフレームワークです。
| 項目 | 内容 | 記述のヒント |
| S(Situation) | 状況 | どんな場面での出来事でしたか? |
| T(Task) | 課題 | その時、どのような問題や目標がありましたか? |
| A(Action) | 行動 | あなたは具体的にどう考え、どう動きましたか? |
| R(Result) | 結果 | その結果、状況はどう変化しましたか? |
💡ポイント:
訪問看護の面接では、特に**「A(Action:行動)」の部分が重視されます。「なぜその行動を選んだのか」というあなたの思考プロセスを語ることで、面接官は「この人なら在宅でも一人で考えて動けそうだ」と確信を持ってくれます。
次のステップ:チェックリストをダウンロード
リサーチした内容や、STAR法でまとめたエピソードを
メモできる「面接準備シート」を準備しましょう。
リライトのポイント:
表の活用: STAR法をテーブル形式にすることで、読者がパッと見て構成を理解できるようにしました。
ベネフィットの強調: リサーチをすることが「ミスマッチ防止」に繋がるなど、読者にとってのメリットを明確にしました。
行動の具体化: 「A(行動)」がなぜ重要なのかを補足し、訪問看護ならではの視点を加えました。
よくある質問30選と回答例
ここでは、面接で頻出の質問と、
合格を引き寄せるためのOK回答例を紹介します。
志望動機:なぜ訪問看護か
「なぜ病院看護ではなく、訪問看護なのですか?」という質問には、
あなたの経験から「なぜ訪問看護でなければならないのか」
を具体的に語ることが重要です。
例文: P (Point):
私は病院勤務時代に、患者さんの退院後の生活まで
深く関わりたいという思いが強くなり、訪問看護を志望しました。
R (Reason):
病院では、病気が治癒しても、
その後の生活に戻るための支援が十分ではないと感じていたからです。
利用者さんの人生観や価値観に深く関わり、
その人らしい生活を尊重する訪問看護に魅力を感じています。
E (Example):
実際に、以前担当していた患者さんが退院後も自宅で生活できるよう、
ご家族への指導や退院調整に積極的に関わった経験があります。
この経験から、在宅での継続的な支援の重要性を痛感しました。
P (Point):
今後は訪問看護の場で、利用者さんの生活全体に
寄り添う看護を実践していきたいと考えております。
志望動機:なぜ当事業所か
「数ある事業所の中から、なぜうちを選んだのですか?」という質問には、
事業所リサーチで得た情報を具体的に挙げて回答することが大切です。
例文: P (Point):
貴事業所の「利用者さんの自己決定を尊重し、
最期までその人らしく生きることを支える」
という理念に深く共感し、志望いたしました。
R (Reason):
なぜなら、私がこれまで大切にしてきた
「患者さんの尊厳を守る看護」
という看護観と合致すると感じたからです。
貴事業所が看取りケアに力を入れている点にも魅力を感じており、
自身のスキルを活かして貢献できると考えました。
E (Example):
ホームページで拝見した看取りの事例に感銘を受け、
利用者さんだけでなくご家族も含めた
手厚い支援体制に感銘を受けました。
P (Point):
このような環境でこそ、
私が理想とする看護を実践できると確信しています。
退職理由の伝え方
退職理由は、「ネガティブな不満」ではなく、
「前向きなキャリアチェンジ」として語ることが鉄則です。
例文: P (Point):
前職では急性期病院で多くの経験を積ませていただきましたが、
より利用者さんとじっくり向き合い、
生活に根ざした看護がしたいと考え、退職を決意しました。
R (Reason):
入院期間が短く、一人ひとりの利用者さんと
深く関わる時間が限られていたためです。
E (Example):
退院支援で関わった患者さんのご家族から、
「自宅での生活が不安だ」という声を伺い、
病院と在宅での看護のギャップを痛感しました。
この経験から、訪問看護の重要性を再認識しました。
P (Point):
前職での経験で培ったスキルを活かしつつ、
訪問看護という新たな分野で貢献していきたいと考えております。
逆質問で差をつける
面接の最後にある「何か質問はありますか?」は、
あなたの志望度と熱意をアピールする絶好のチャンスです。
ホームページを見ればわかるような質問は避け、
一歩踏み込んだ質問をすることで、面接官に良い印象を与えられます。
OKな逆質問の例:
「訪問先の対象者さんは、どのような疾患の方が多いですか?
また、未経験者が担当する場合、
どのようなケースから担当することが多いですか?」
「貴事業所の教育体制に魅力を感じておりますが、
具体的にどのような研修やOJT(On-the-Job Training)がありますか?」
面接当日の振る舞い
第一印象は、あなたの人間性やプロ意識を伝える上で非常に重要です。
以下の点を意識して、誠実さをアピールしましょう。
服装:
清潔感のある服装を心がけましょう。
スーツが無難ですが、オフィスカジュアルも可です。
持ち物:
履歴書、職務経歴書、看護師免許証のコピーなど、
必要書類をクリアファイルにまとめて持参しましょう。
振る舞い:
面接の5分前には到着し、笑顔で挨拶をしましょう。
面接中は、背筋を伸ばし、面接官の目を見て話すことで、
自信と熱意が伝わります。
まとめ
訪問看護の面接を成功させるためには、
事前の準備が何よりも大切です。
面接官が評価する5つの軸を理解し、
事業所リサーチを徹底することで、説得力のある回答が作れます。
また、PREP法やSTAR法を活用して、
あなたの経験を具体的なエピソードとして語ることで、
あなたの強みや人間性が面接官に深く伝わります。
この記事の内容を参考に、
ぜひ面接練習に取り組んでみてください。
あなたの訪問看護師としての新しい一歩を応援しています。






